昨年に引き続き、今年のあいちアール・ブリュット舞台・ステージ発表も充実した内容となりました。
今年の舞台・ステージ発表は9月20日(木曜日)から9月21日(金曜日)の2日間にわたり開催。
1日目は、愛知労働局が開催する障害者雇用促進セミナーと併催。盛りだくさんのプログラムのなかで、あいち聴覚障害者センターの園田センター長による講演「聴こえない人ってどういうこと?」や、「全盲の歌姫」若渚(わかな)さんによるステージ発表「若渚オンステージ」が開催されました。
園田センター長の講演では、聴覚障害者の区分や、聴覚に障害のある方のとりまく環境についての説明、簡単な手話の紹介をしていただきました。園田センター長ご自身が聴覚に障害のある方のため、手話通訳者を通じての講演です。
お話の中では、聴覚に障害のある方が直面する困難事例の紹介などがありました。例えば、音が聞こえないことによる言語取得の困難さから、「道草を喰う」といった慣用句であっても、字面のとおりに捉えてしまい思わぬ誤解を招く恐れがあるなど、健常者の目線では普段気づかない難しさを説明していただき、とても勉強になりました。
講演をする園田センター長
若渚さんのステージ発表では、オリジナルソング『緑玉(しぜん)』や、カバー曲『365日の紙飛行機』が披露されました。若渚さんののびやかでまっすぐな歌声が、コンサートホールに響き渡り、思わず圧倒されました。
また、若渚さんの歌に込める想いや、今後の目標について語っていただきました。特に、『緑玉(しぜん)』に込める想いについて語った、緑という色を見たことは無いけれど、緑色の自然に触れたときに感じた、包み込むようなぬくもりを歌詞に込めました、という言葉が印象的でした。
歌声を披露する若渚さん インタビューに受け答えする一幕も
2日目は、「愛知県立芸術大学フレッシュアーティストによる木管五重奏とピアノの夕べ」と題して、障害のある方やそのご家族、支援者の方などへ本格的なクラシックコンサートをお届けしました。
演奏者は、愛知県立芸術大学の在学生と卒業生で構成される木管五重奏団「Ensemble Violet(アンサンブル ヴィオレ)」と、ピアニスト吉田まつりさん。
演奏に使われるフルート、オーボエ、クラリネット、ホルン、ファゴットを1つずつ丁寧に紹介していただき、『ふるさと』やジブリメドレーなど親しみやすい曲も披露。
本格的なクラシックの音楽も1楽章ずつわかりやすい解説付きで演奏され、初心者でも楽しむことができました。
曲によっては、一緒に歌う人や声を出す人、席を立つ人もありましたが、会場全体がとてもあたたかい雰囲気で、最後は大きな拍手に包まれました。
木管五重奏団「Ensemble Violet」とピアニストの吉田まつりさん
(左から順に、フルートの細川杏子さん、オーボエの岡田麗紗子さん、ホルンの山崎瑞希さん、ファゴットの巣立ひかりさん、クラリネットの安田莉子さん)